きゅうせいじょうちょうかんまくどうみゃくへいそくしょう

急性上腸間膜動脈閉塞症

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

急性上腸間膜動脈閉塞症(きゅうせいじょうちょうかんまくどうみゃくへいそくしょう)とは、小腸や大腸などにつながる血管、「上腸間膜動脈(じょうちょうかんまくどうみゃく)」が閉塞する病気です。

血の塊などができ、上腸間膜動脈が突然塞がってしまうと、腸管に充分な血液が供給されなくなります。結果、腸管の細胞は壊死(えし)してしまいます。急性上腸間膜動脈閉塞症の初期症状は激しい腹痛です。その後、嘔吐や血便などが起こります。広範囲の消化管が同時に影響を受けるため、全身状態が著しく悪化し、死に至ることもあります。

急性上腸間膜動脈閉塞症は、緊急の治療介入を必要とする病気です。診断から治療までを数時間以内に行う必要があるため、激しい腹痛がある際には救急車を利用するなど、迅速に医療機関を受診することが大切です。

原因

上腸間膜動脈が閉塞する原因は、塞栓もしくは血栓です。

心房細動に関連した塞栓

心房細動に関連した塞栓が代表的です。心房細動があると、心臓のなかに血の塊が形成されてることがあります。この血栓が何らかの拍子に血液の流れに乗って上腸間膜動脈へと運ばれ、塞栓として動脈を塞ぐことがあります。

動脈硬化に関連した血栓 

また、上腸間膜動脈は血栓により閉塞されることもあります。代表的なものは、動脈硬化に関連した上腸間膜動脈閉塞です。上腸間膜動脈の動脈硬化が徐々に進行し、血栓として上腸間膜動脈を閉塞してしまいます。

症状

突然の激しい腹痛を自覚します。また血流障害の時間が長引くと、腸管の細胞が障害を受け嘔吐や出血なども引き続きます。上腸間膜動脈閉塞症で障害を受ける消化管は広範囲にわたります。そのため、症状も消化管に限局するわけではありません。

病状が進行すると消化管の組織が壊死し、以下の全身症状が現れます。

  • ショック
  • 顔面蒼白
  • 呼吸障害

など

病気の進行は非常に早く、数時間で急激に悪化する傾向があります。早期に治療を行わなければ死亡することもあります。また治療介入により一命を取り留めた場合でも、正常な機能を失った広範囲の腸管を切除せざるを得ないこともあります。この場合、必要な栄養分を吸収できない短腸症候群と呼ばれる病気を続発することもあります。

検査・診断

血管が詰まって血流が滞っている状態を確認するための検査が行われます。具体的には、造影剤を用いたCT検査や血管造影による画像検査により診断されます。CT検査では、血管の閉塞具合と腸管の壊死の状態も同時に評価することができます。

急性上腸間膜動脈閉塞症の診断時には血液検査も行われます。腸管の細胞死が起こると、LDHと呼ばれる物質が腸管細胞から大量に放出されます。また、血液が酸性に傾くアシドーシスと呼ばれる状態も進行します。LDHの放出やアシドーシスは血液検査の結果からわかります。

急性上腸間膜動脈閉塞症では、原因疾患の評価も大切です。心房細動をきっかけとして発症することが知られているため、心電図や心臓のエコーを行うこともあります。

治療

急性上腸間膜動脈閉塞症は、急激に状態が悪くなり死に至ることもある病気です。そのため、診断がつき次第、すぐに治療を行うことが重要です。急性上腸間膜動脈閉塞症の治療方法には、手術や血管内治療などがあります。

手術では、外科的に詰まった血管の開通を図ります。血管内治療とはカテーテルを用いた治療です。急性上腸間膜動脈閉塞症では腸管の一部が機能を失うこともあり、必要に応じて消化管の一部を切除する例もあります。広範囲の消化管を切除した場合、続発症として短腸症候群を発症することもあります。短腸症候群を起こした場合、食事の工夫や点滴治療が必要になります。

急性上腸間膜動脈閉塞症は、心房細動動脈硬化をベースにして発症する病気です。心房細動や動脈硬化に対する治療に取り組むことが、急性上腸間膜動脈閉塞症の発症予防につながる側面もあります。

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